紙芝居を作る 手作り紙芝居の作り方

更新:2008.5.14

みんなで作って演じてみよう

2007年12月1日に開催された、名古屋柳城短期大学フォーラム「手づくり紙芝居の作り方」において、 長野ヒデ子先生の講座「手づくり紙芝居を楽しもう」が行われました。 長野ヒデ子先生の指導を受け、参加者がオリジナル紙芝居を作って演じました。
ここでは、当日の長野先生の講座をもとに手づくり紙芝居の楽しみ方を教えていただきましょう。

はじめに

 今から1時間ちょっとで、4枚くらいの画面の紙芝居をつくります。 1枚あたり15分。こんなに短い時間で作るなんて神業ですけどね。出来上がった後に発表してもらいますね。
 とにかく紙芝居を作る、しかも短い時間で作る、ということが今日のテーマです。 一枚出来ると楽しくなってきて、最後まで仕上げたくなるものです。 作品が一応完成したら、グループごとに演じてみましょう。演じると紙芝居はもっと楽しくなります。

脚本

[写真]

脚本のヒントに
『でてきたなあーんだ?』を
紹介する長野先生

 どんな風に作ったらよいかわからないという方には、“当てっこ”紙芝居が参考になります。
 これは、やべみつのりさんの『ふしぎなまど』(童心社,1997年)や『でてきたなあーんだ』(童心社,1987年)という作品。 丸や四角にくり抜いた窓の中にいろんなものが登場して、子どもたちとやりとりしながら当てっこさせるのです。
 「窓のむこうになにがあるかな?」「なにかな、なにかな?」「あ、たこさんでした」とこんな感じです。 これなら物語を考えてきていなくても、何か作品ができますね。 そのとき4枚の画面につながりをもたせたり、ストーリーがあったりすると、当てっこもぐんと楽しくなりますよ。

 物語をつくりたいけれど難しいと思う人は、「げんこつ山のたぬきさん」というわらべ歌を思い出してみて下さい。
 「げんこつ山のたぬきさん おっぱいのんでねんねして だっこしておんぶして またあした」という歌です。 この歌は起承転結、ドラマがあって最後は「さようなら」で終るの。
 そこで、げんこつ山のたぬきさんを別の主人公にして、どこそこの誰それさんが、何かして、どうにかなって、さようならと。 ああ、それならできそうと思いませんか?
 それでもどうしても作れないという方に、自己紹介の紙芝居があります。 ナスビを描いて「ながのの“な”」、ガチョウを描いて「ながのの“が”」、酔っぱらっている人を描いて「のんべの“の”」、 「そう、わたしは長野です」って紙芝居で自己紹介するの。面白いですよ。

本書き

 本当は「箱がき」(【紙芝居づくりの基本】参照)を作って、進行方向も考えて何度も検討してから本書きに入るのですが、 今日は時間がないので、そんなところをとばします。
 一枚目には、必ずタイトルと作った人の名前を入れて下さい。 タイトルはよく考えて付けて下さいね。タイトルは凄く大事。そこから物語の発想が生まれますから。 また紙芝居では作者について「○○脚本、○○絵」と書きます。それは紙芝居が演じられるものだからです。 会話や擬音をたくさん使うと、より伝わりやすくなりますよ。
 表の絵と裏のお話(脚本)の書き方では、4画面の紙芝居の場合、 1枚目のお話は1枚目の絵の裏ではなく、4枚目の絵の裏に書きます。 2枚目のお話は1枚目の絵の裏、3枚目のお話は2枚目の絵の裏、というように、一枚ずつずれるように書いていきます。

 紙芝居は右から左に抜いていきます。 ですから、次の場面に登場させたい人物などは右の方に描いた方がいいですね。 場面は右から左に進んでいく、ということを忘れずに。

 絵は遠目が利くように描きます。 紙芝居は絵本と違って少し離れたところから見ますから。 黒い縁取りをつけたり色のコントラストをくっきりさせたりして、できるだけ遠くから見える絵を工夫してみて下さい。
 それから画面の端は1.2cm~1.5cmあけます。 紙芝居は舞台に入れて演じられますから、舞台に入れておさまるように注意した方がいいですね。
 子どもが絵を描くとき、何のためらいもなくグングン描いていって、凄くいい絵が描けたりします。 皆さんも今日は5歳の子どもになったつもりで、画面からはみ出すくらいでも、それがまた良い味になったりするものです。
 「どうしても絵が描けないわ」という方に、お勧めの方法があります。 古新聞をちぎって形を作って貼り付けて絵にしていく方法です。 ハサミはできるだけ使わないように、手でちぎった方が思わぬ線が出たりして、ずっと面白い絵になりますよ。 今日みたいに短い時間で仕上げなくちゃならない時も効果的です。
 とにかく短い時間につくるということをたのしもう!と思ったら不思議な力が出てくるものです。 ほらほら、おもしろい紙芝居が生まれましたよ!
 みんなの前で演じると、これがまた何倍もたのしくなるものですよ。さあ、演じましょう!